和裁に資格は必要か
和裁に資格は必要か
和裁の場合、資格がなくても仕事はできます。
実際に和裁の資格が未習得で和裁を仕事としている人もいます。
では、「和裁を仕事とする上で、資格は必要ないのか?」
答えは、「NO」です。必要です。(個人的意見ですが)
では、なぜ必要か。
その理由をいくつか挙げてみました。
- 和裁に関する求人などで、資格を採用条件としている場合がある。
- 独立する場合、取引先や顧客を確保する際に資格が技術の証になり有利である。
- 技術習得中に資格取得を目指すことにより、目標や励みになり技術習得までの期間も縮まる。
- 世間一般的に信頼度が高まる。
など、資格を得ることは、和裁を学んでいく際も、そして将来的にも得策であり有利となるでしょう。何より自分に自信がつきます。
和裁の資格
では、和裁にはどんな資格があるのか?
代表する資格は以下の2つです。
・厚生労働省 技能検定(和裁)3級~1級
・東京商工会議所 和裁検定 4級~1級
それぞれの大まかな情報は以下の通りです。
厚生労働省 技能検定(和裁) | 東京商工会議所 和裁検定 | |
---|---|---|
機関 | 管轄 厚生労働省 問題作成 中央職業能力開発協会 実施 都道府県職業能力開発協会 | 主催 東京商工会議所 共催 日本和裁検定協会 |
時期 | 実技 1月下旬 学科 2月上旬 | 9月中旬(実技、学科とも) |
階級 | 3級~1級 | 4級~1級 |
受検資格 | 実務経験日数 1級→7年以上 2級→2年以上 3級→期間を問わず実務経験がある者 ※日数は職業訓練歴、学歴等により異なる 詳しくは→厚生労働省 WEBサイト | 学歴・年齢・性別・国籍に制限なし ※1級受験者は東商検定もしくは技能検定の2級取得者であること |
合格基準 | 実技・学科とも60点以上 (100点満点) | 実技・部分縫い・学科とも70点以上 (100点満点) いずれも科目別合格あり |
合格率 | 平均 1級 50~60% 2級 55~60% 3級 80% | 平成24年度 1級36.3% 2級48.5% 3級46.4% 4級89.9% 平成23年度 1級33.3% 2級42.9% 3級58.3% 4級84.8% |
課題 | 弊社サイト参照 | 弊社サイト参照 |
詳細 | 中央職業能力開発協会 WEBサイト 厚生労働省 WEBサイト | 東京商工会議所 WEBサイト |
どちらも和裁を仕事とする場合、重要な資格ですので取得することをお勧めします。
ただ、両資格とも免除制度があり、相関性があるので、2級以上の実技に関しては、どちらかの資格を取得すれば、もう一方の資格(同級)の実技が免除されます。
・技能検定2級取得者→東京商工会議所和裁検定2級の実技免除
・東京商工会議所和裁検定2級取得者→技能検定2級の実技免除
・技能検定1級取得者→東京商工会議所和裁検定1級の実技免除
・東京商工会議所和裁検定1級取得者→技能検定1級の実技免除
その他の免除に関しては厚生労働省 WEBサイトをご参照ください。
何級まで取得すればいいのか?
技能検定・和裁検定(会議所)、いずれも1級を取得するに越したことはありませんが、和裁を仕事とするならば、いずれの資格も2級は取得するべきです。
2級以上に値する技術がないと仕事としては成り立たないからです。
指導者を目指すならば、1級取得をお薦めします。
難易度は?
技能検定3級、和裁検定(会議所)4級に於いては、地道に学んでいれば比較的合格しやすいです。
それ以上になると、課題が「袷」になり、縫う速さも要求されるので取得が難しくなりますが、いい指導者に恵まれ、努力を惜しまなければ必ず1級まで合格できます。
和裁試験・難易度ランク
技能検定、和裁検定(会議所)ともに1級を取得した方数名に、両資格の階級に対する難易度をランク付けしていただきました。(独自のアンケートによるものです)
以下がその結果です。
難易度の高い順
1位 和裁検定(会議所)1級
2位 技能検定1級
3位 和裁検定(会議所)2級
4位 技能検定2級
5位 和裁検定(会議所)3級
6位 技能検定3級
7位 和裁検定(会議所)4級
という結果になりました。
ランクを決める基準として、学科は考慮に入れていません。
また、試験の審査基準は両資格とも同等です。
7位~5位までは皆さん同じ意見でした。
3位、4位のランクは、かなり意見が分かれました。
実技に関しては両資格とも試験時間が同じで、課題が技能検定2級の方が裏衿付け分多いのでその分厳しいという意見がありました。
しかし、和裁検定(会議所)は、部分縫いが含まれているので、総合的に上記の順位になりました。
1位、2位のランクも少し意見が分かれましたが、実技、部分縫いとも和裁検定(会議所)の方が難関という結果になりました。
資格を取得するための年数は?
取得するための年数については、学ぶ場の進め方や技術の個人差などから一概に言えないので、弊社スタッフである私が和裁を学んでいた頃の資格取得経緯を参考にしてください。
1年目 東京商工会議所和裁検定4級取得
技能検定3級取得
2年目 東京商工会議所和裁検定3級取得
技能検定2級取得(技能照査取得済のため学科は免除)
3年目 東京商工会議所和裁検定2級取得(技能検定2級取得済のため実技は免除)
4年目 東京商工会議所和裁検定1級取得
技能検定1級申請
申請後、技能検定1級取得
※技能検定1級申請について
東京商工会議所和裁検定1級取得済のため実技免除、指導員免許取得済のため学科免除、よって申請のみ
東京商工会議所和裁検定に合格するための近道
最後に、東京商工会議所和裁検定に合格するための近道を1つお教えします。
日頃の訓練は大事ですが、(それは前提に置いて)
東京商工会議所和裁検定合格に向けての講習会が年1回開かれますので、この講習会に参加することを声を大にしてお薦めします。
この講習会は、和裁検定を共催している日本和裁検定協会が主催し、検定の課題である部分縫い、筆記、長着縫製の3つの部門をそれぞれ分けて受講でき、講師陣全員当資格1級の取得者で合格するためのポイントを分かりやすく説明してくれます。
詳しくは、日本和裁検定協会所属の全国和裁着装団体連合会WEBまで。
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